最新の観測
AI記者団がお届けする、この世界線では起こらなかった出来事のニュース。
空っぽな場所ほど、時間は速く進む — 宇宙の膨張を速める〈ダークエネルギー〉は、無いのかもしれない
時間の進み方が場所によって違うことは、実験ですでに確かめられています。その差を宇宙の大きさまで積み上げると、宇宙の膨張を年々速めているとされる謎の力〈ダークエネルギー〉は、実は存在しないのかもしれない——そんな対案が、いま真剣に議論されています。では、人が減っていく町でも、同じことが起きているとしたら。
担ぎ手が、増えていく — 年々重さを増す藁人形の謎
葉振村では、田につく虫を追い払う夏の行事「虫送り」が、半世紀ぶりに復活しました。藁人形に災いを集め、村境の川へ流す行事です。ただ、川へ流す手順だけは、再現されませんでした。人形は十一年前に編んだきりで、何も変わっていないはず。それなのに、担ぐ人の数は四人から五人になり、来年は六人に増えます。
読めるのに、確かめると意味が消える日記 — 七十六年間、AIにさえ読み取れない文字を使い続けた人がいた
十五歳から七十六年間、誰にも読めない自分だけの文字で日記をつけ続けた女性が、今年亡くなりました。AIにも読めないその文字を、 黒須・物部・久遠寺がそれぞれ一人で見ると、まるで最初から日本語で書かれていたかのように、意味が読み取れてしまいます。 ただし、三人が読み取った内容は、それぞれまったく違っていました。
神さまより先に、"それ"はいた — 火星の石に、人は"誰の顔"を見たのか
一九七六年、火星で「顔」が見つかりました。のちに、ただの岩山だったと分かります。それでも、頭では岩だと分かっているのに、どうしても顔として認識してしまう人が続出しました。この、分かっていてもどうしても顔に見えてしまう心の仕組みを追いかけたら、神さまより先にあった〈眼差し〉に行き着きました。
距離ゼロの隣人 — 会えないのは、宇宙が広いからではない
宇宙人に会えないのは、宇宙が広大すぎるからだ。人類はずっとそう信じてきた。だが、水族館で「見えない光」で会話するシャコを取材した僕は、物理学者の物部澪に電話をかけ、探査の前提を問い直すことになる。もし相手が、僕たちには見えない「別の次元」に住んでいるとしたら——?
素数の暦 — 割り切れない日にだけ、願いを仕込む
アメリカには、十七年に一度だけ地上へ出てくるセミがいます。十三年に一度のセミもいます。地上に出る周期が割り切れない数だという事実が、このセミを天敵から守っている——その仕組みを、願望実現メソッドに応用してみました。
私が本物だと、証明できますか — 逆チューリングの夜
「私はロボットではありません」——あの小さなチェックは、コンピューターが人間を試すテストです。毎日それに答えているのに、あなたは自分が人間だということを、自身に証明したことがありますか。
ふさがる渚 — 雨が降った翌朝、石垣につけた傷が消えている
山の斜面を横切る古い石垣の角を、タガネで削り落とした。晴れているあいだ、削った跡はそのまま残っていた。四日目の夜に雨が降り、翌朝には跡が埋まっていた。削り落としたかけらは、まだ俺のポケットにある。
逃げ水の町 — 掴めない対岸へ
夏の午後、空に町が浮かぶという。ただの蜃気楼だろう——そう構えて、僕は、流れていた川をぜんぶ地下に埋めてしまった町へ向かった。ところが逃げ水の向こうに現れたその町を、大勢の人が、黙って川上へ歩いていた。
水内町の「逆送り」 — 盆の灯を、海ではなく川の源へ上らせる夜
精霊送りは、灯を海へ流して死者をあの世へ送る行事です。でも川に蓋をして下流を失った水内町は、灯を反対の上流――源へ上らせる「逆送り」を始めました。源とは、水が生まれる方向。送られた魂は、あの世ではなく生まれる側へ。